磁気共鳴専門技術者試験対策 SNR測定について

磁気共鳴専門技術者試験

日本磁気共鳴専門技術者(JMRTS)の性能評価試験の1つとして均一ファントムによるSNR測定試験が設けられています。この試験対策についてなるべく分かりやすく記載します!

SNR(信号対雑音比)測定の基本原理

そもそもSNRとは?というところからですが、SNRは以下の式で定義されています。

「信号(Signal)」はファントムの関心領域(ROI)の平均信号強度(Mean)

「雑音(Noise)」は画像全体の背景やシステム由来の標準偏差(SD:Standard Deviation)を表しています。

また測定結果について考察するために以下の式も把握しておく必要があります。

  • SNR(Signal-to-Noise Ratio):信号対雑音比
  • FOVx / FOVy:視野(撮像範囲)
  • Thk(Slice Thickness):スライス厚
  • Nx / Ny:マトリクス数(周波数・位相)
  • NEX(NSA):加算回数
  • BW(Receiver Bandwidth):受信バンド幅

上記の式を把握しておくことで撮像条件の変化に対してSNRがどのように変化するのかを予測ができるため測定結果について考察することができます。

SNR測定の具体的な手法

JMRTSのHPでは均一ファントムによるSNR測定試験について以下のように記載があります。

1)標準的なNEMA法で測定する。

2)ファントムについて
・頭部:最小寸法は撮像面内で直径10cmの円または補償範囲の85%のうち大きい方を満たすもの。
・体幹部:最小寸法は撮像面内で直径20cmの円または補償範囲の85%のうち大きい方を満たすもの。
T1値<1200msT2値>50ms
頭部と体幹部の2種類の大きさのファントムを使用すること。

3)撮像条件
ファントムの安定化を図る。
・ファントムはアイソセンターに置かれたRF受信コイルの中心に配置する。
・室温およびファントム温度は22±4℃
Spin echo(SE)法が望ましいが、必ずしもこの限りではない。
TR≧3×T1、TEは一般的に臨床に使用される範囲。
・シングルスライスで、撮像面はAxial。
・FOVは面内においてRFコイルの最大径の110%を超えないこと。
・スライス厚≦10mm
・★表面コイルは使用できない。
Parallel imagingを使用してはいけない
・ROIは画像断面の75%は少なくとも囲むこと。

4)測定結果の基になった数値と計算式を記載する。また、その数値が何を表しているのかも示す。

5)差分(subtraction)ができない装置は簡易法を用いても構わない。

色々記載があって分かりにくいですよね…。私なりに要約した内容を以下に記載します!

  • SNR測定にはNEMA法(差分法)を用いて測定
  • ファントムはメーカー提供のファントムを使用
  • 撮像前にはファントムを数分放置し安定化を図る
  • TRは十分長い値に設定し(目安800ms以上)撮像
  • スライス厚は10mm、撮像断面はAXで撮像
  • 感度フィルター、パラレルイメージングなどは全て使用不可

撮像手順・測定方法について

撮像手順について

①ファントムをコイル中心に配置し撮像前に15分程度放置します。(ファントムの安定化)

②撮像位置をファントム中心に設定し、同じ撮像条件で2回撮像を行います。※中心周波数やゲインなど変化しないように注意

測定方法について

①取得した2枚の画像を差分し、差分画像を作成します。差分はコンソール上でできる場合はコンソール上で、できない場合はImageJなどのフリーソフトを使用します。

②元画像にファントムの75%以上を囲むようにROIを設定しS(平均信号値)を測定。差分画像の同じ位置にROIを設定しSD(標準偏差)を測定。

③測定したSD値は過大評価されているためSD/√2を行い真のSD値を算出

④SNR=S/(SD//√2)を計算しSNRを算出

レポートの記載方法

SNR測定が完了したら、結果をレポート(報告書)にまとめます。レポートには以下の項目を盛り込みます。

  • 基本情報(施設名・氏名・使用機器など): 自分の所属施設名や氏名、使用したMRI装置の名称・機種など。
  • 題名: 均一ファントムによるSNR測定試験レポートなど
  • ファントム: 使用したファントムの種類・形状・大きさ内容物、およびT1値・T2値を記載します。
  • コイル: 使用した受信コイルの種類を記載します。
  • 撮像条件:使用した撮像パラメータ(TR、TE、スライス厚、FOV、マトリックス、NEX、バンド幅、室温など)を具体的な数値で記載します。
  • 測定方法: SNRを測定した手順や工夫した点を記載します。例えば、以下のように書くことができます。
    • ファントムをMRI装置内に設置後、10分以上待機してファントムを安定化させた。
    • 得られた2枚の画像を**減算処理(サブトラクション)し、差分画像を作成した。
    • ファントム断面積の約75%を囲むROIを画像上に設定し、平均信号値を測定した。
    • 撮像断面は頭部ファントム・体幹部ファントムともAxial(軸位)で統一した。
    • 同一サイズのROIを差分画像にも当てはめて標準偏差(SD)を測定した。
    • 測定したSD値を√2で除してノイズ値を算出した。
    • 信号値/ノイズ値の比よりSNRを算出した。
  • 考察:測定結果からヘッドコイルとボディコイルのSNR差について考察を記載します。

まとめ

以上がSNR測定の解説になります。

また実際に私が試験に合格した際に使用したレポート、撮像条件については知りたい方は有料ではありますが以下に記載しておきます。購入して頂けますとサイト運営の励みになります!

以下に参考レポート、撮像条件を掲載します。

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